戦争が終わった日

年を重ねるごとに終戦の日を迎えるのが悲しい苦しい寂しい想いが募る。
我が家は、昭和の初めに兄達の学校の関係で、郷里(北陸)から東京に移り住んでいた。
そして私は昭和17年国民学校一年生に入学。
昭和19年3月国道1号線上に爆弾投下されたのをきっかけに父・大学生の兄・女学生の姉を残して祖母・母・3才上の姉と私の4人は郷里の我が家に戻った。
年度替わって4月姉も帰郷した。
その後に激しい空爆が始まった。
すっかり体調をくずした父が東京での生活に耐えられず帰って来た。
それ以来病の床についてしまった。
昭和20年2月22日:残してきた兄が帰って来た夢を見たのか?
  【帰ってきたぞ〜〜母さん牡丹餅作ったか〜〜〜】と
驚くようなはっきりとした大きな声をあげると
大好きだった達磨さまの掛け軸に語りかけるように手を伸ばし
 幻を追いながら静かに目を閉じた
お父ちゃん!お父ちゃん!!お父さん!
私三年生の冬・大雪の日の事だった。
終戦を知らずに去って行った。



 「敗戦を知らずに逝ってよかった。自殺するかもしれない・・・・」と
   母が小さく呟いた。